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【コラム】翻訳者の仕事から – ちょっと注意が必要な 「They」の訳

フリーランスの産業翻訳者としても、少しずつ仕事をいただくようになりました。今の事業に関連した、教育やIT関係の案件を中心に担当させていただいています。今回は、そんな翻訳の仕事の中で気づいたことから。


日本語に訳する際、特に気をつけるようになった単語の一つが「they」です。

今まで、性別を判断ができないときも、何の気なしに「彼ら」と訳してしまっていました。しかし、これはおかしなことですよね。男性ばかりの組織とは限らないわけですから。でも考えてみれば当然ですし、「何を今さら」と指摘されそうな気もします。

文脈上、theyの性別を判断できないときは、日本語の特徴でもある「分かりきっている代名詞や指示代名詞は省略」をしたり、文脈上主語を書く必要があるなら「委員たち」「教師たち」などとしたりして対処します。


Theyについてはもう一つ、気になったことがあります。
海外の取引先とのメールでこんな表現がありました。固有名詞は直接関係がないので伏せ字にしますが、競合他社の製品についてのコメントで、

[メーカー名] will face same problem, because they also use [技術].
訳:[メーカー名]だって同じ[技術]を使っているんだから、同じ問題に直面すると思うよ。

メーカー名は単数ですから、代名詞はitを使うのが(30数年前に)私たちが学校で習った用法ですが、複数の代名詞のtheyを使っています。このthey、日本語の訳文では省けますね。


そんなことを考えながら、インターネットで「they」の用法を検索すると、性別を特定しない用法、会社や組織のことを示す場合、単数としての用法、たくさん出てきます。

こんな記事もありました。
三人称単数としての「they」、性別多様化の時代に対応


今まで自分がやっていなかった、書いたり話したりする仕事を行う上で、言葉をもっと大事に使わないといけないですし、それでいて豊かな表現ができるようにしたいものです。

(橘 肇/橘図書教材)