【コラム】生成AIを使ってみたら〜3年間勉強しても作れなかったプログラムが

何に使う?生成AI

ビジネスにおいても教育においてもすっかり不可欠な存在となった生成AIですが、私自身が有効に使いこなしているかと聞かれると、まだ自信はありません。今のところ、英文資料の翻訳、要約や、原稿の構成作りまで、といったところでしょうか。

ある日、テレビのニュースで今の大学生が生成AIをプログラミングにも使っているというインタビューを目にしました。複雑なプログラムのベースのところを考えたり、作成したプログラムの動作チェックなどに使っているのだということです。

それを見て、長年悩んでいたある問題が解決できそうな気がしました。

長年苦労していたプログラミング

Vosaicでは、ダウンロードしたCSVファイルをExcelなどのスプレッドシートで分析することが一般的です。その際、現状ではモーメントの開始時間(Start Time)と終了時間(End Time)は秒の位までが表示される仕様となっています。

「Start Time」と「End Time」の列は1秒の単位まで表示され、09:41となっています。

モーメントの継続時間自体は「Duration in Seconds」の列に表示されるので、合計時間や平均時間を出す上では問題はないのですが、やはりあるイベントの詳細な開始時間を見たい場合には不便です。

XMLファイルで出力してみると、小数点以下の数値まで記録されています。

CSVで9:41と表示されているStart Timeは、実際には581.760293ということがわかります。

このXMLファイルをCSVファイルに変換することができれば、Excel上で詳細な開始時間と終了時間が表示できるのではと考えました。そのためのプログラムを自作しようと(それによってプログラミングの基礎だけでも身につけたいと)、オンラインスクールを受講するなどして長年取り組んできたのですが、一向に完成しないまま年月が経っていました。

そんなときに目にしたのが、先日の学生のインタビューだったのです。

生成AIでの作業には「プロンプト」(生成AIに対する命令文)が大事ということで、試行錯誤しながらプロンプトを作った結果、Google Geminiを使ってPythonのプログラムを作ることができました。実際のプログラムはこちらの記事をご参照ください。

このプログラムを使って、最初に示したXMLファイルをCSVファイルに変換し、Excelに読み込んでみると、次の画像のように表示されました。

Start Timeが581.760293秒と表示されています。

いちからPythonのプログラミングを覚えようとして何年もできないでいた課題が、それと比べるとはるかに短い時間でできてしまったことに、呆然としたというのが正直なところです。

とにかく使ってみる経験を

私自身も大学教育に携わる立場として、教育現場での生成AIの活用の方法とルールには、まだまだ検討すべき点が多いことは承知していますし、自分の授業でも安易に使う方向にはしたくないという思いもあります。しかし今回の小さな経験を通して、「知っている」「使ってみたことはある」という学生と「知らなかった」「教えてもらったことがなかった」という学生の差だけは、少なくとも作ってはいけないのでは、そう感じました。

Vosaicも今回のアップデートで、生成AIに関する機能をより進化させました。そうしたツールを普及させようとしている者としても、今後も重要なテーマとして考えていきたいと思います。

(橘 肇/橘図書教材)