2月13日、大修館書店様から「スポーツパフォーマンス分析入門ー基礎となる理論と技法を学ぶ」(ピーター・オドノヒュー 著、中川昭 監訳、橘肇/長谷川悦示 訳)が出版されました。
大修館書店様ウェブサイト
副題にもある通り、スポーツパフォーマンス分析の基礎を学ぶにはお勧めです。目次をご紹介しましょう。
第1章 スポーツパフォーマンス分析とは何か
第2章 質的分析と量的分析
第3章 スポーツパフォーマンスのデータと情報
第4章 分析システムの開発
第5章 手作業による記述分析システムのためのガイドライン
第6章 手作業による記述分析システムの開発例
第7章 コンピュータ化されたパフォーマンス分析システムのためのガイドライン
第8章 コンピュータ化されたパフォーマンス分析システムの開発例
第9章 信頼性のテスト
第10章 スポーツパフォーマンス分析における学術著作物の書き方
一緒に訳を担当した長谷川悦示先生が、初めてこの本の原著「An Introduction to Performance Analysis of Sport」を見せてくださった時の衝撃は今でも忘れられません。それまで、分析ソフトの講習会や体験セミナーの講師を数多く任せてもらってきましたが、「操作手順以前のこと」、つまり「何のためにソフトやツールがあるのか」を伝えられない悩みを抱えていました。
それが伝えられないと、講習後にソフトを使う機会のない学生には何も残りません。もちろん自分で考えて体系化できればいいのですが…。そんな中で原著の冒頭にあった「SPORTS PERFORMANCE ANALYSIS: WHAT? WHY? WHO? WHERE? WHEN? AND HOW?」という項目の見出しに一目で引きつけられたことを覚えています。
スポーツパフォーマンス分析やデータの基本について書かれている第1〜3章も良いのですが、お勧めしたいのは「分析システムの開発」と題した第4章です。これはプログラミングではなくて、データを収集するためのフォーマット(紙とペンから、Excelのような汎用ソフト、あるいはゲームパフォーマンス分析用のソフトまで)を競技に合わせて作る、その過程がテーマの章です。
この章とそれに続く「手作業(文字通り紙とペンです)の記述分析システムの開発」は、ソフトウェアの操作を本格的に学ぶ前に知っておきたい知識だと思っています。在学中に数種類のスポーツパフォーマンス分析ソフトをしっかり学ぶ(と聞いたことがあります)カーディフ・メトロポリタン大学の学生も、この本でそういうステップを経ているのですから、間違いではないと思います。
「月刊トレーニング・ジャーナル」で連載している『スポーツパフォーマンス分析への招待』では、この本に書かれていることを下敷きにしながら、多くの方に教えを受けたり取材したりしたこと、そして私自身が経験したことを絡めて、学術的にも正しく、わかりやすく執筆することを心がけています。この書籍と合わせて一読いただけると幸いです。
(橘図書教材/橘 肇)