月刊トレーニング・ジャーナル6月号、連載『スポーツパフォーマンス分析への招待』予告

月刊トレーニング・ジャーナルの連載『スポーツパフォーマンス分析への招待』、来月10日発売予定の6月号からは、スポーツパフォーマンス分析を行うための方法をテーマにします。最新のテクノロジーから、専用ソフトを使わない手作業による方法まで、幅広く取り上げていきたいと思っています。

連載「スポーツパフォーマンス分析への招待」第6回
スポーツパフォーマンス分析は「どのように」行うのか

『スポーツパフォーマンス分析入門』(大修館書店)では、スポーツパフォーマンス分析の2つの大きな目的として、「試合分析」「ワークレート分析」を取り上げています。「試合分析」は主として球技の分析に使われるもので、それぞれのプレーについてのデータを含むもの、「ワークレート分析」は観察的な手法を用いて、スポーツの身体的な要求を分析するものです。(詳しい内容はぜひ書籍をお求めください。現在、amazonが生活物資優先の対応で在庫補充などが遅れているそうですので、大修館書店様のサイトからお願いします。)

私がスポーツパフォーマンス分析の仕事に入るきっかけは試合分析(ゲームパフォーマンス分析)ソフトウェアでしたが、ワークレート分析に関する商品も並行して手がけました。GPSがまだ普及する前、ワークレート分析を安価に行う方法は手作業による追跡(トラッキング)でした。

下の画像は私が実際に行ったものですが、サッカーのレフェリーの1試合の動きです。90分間(この例では実質97分間)、レフェリーの動きを見つめながら、手元のタブレットの上をペンでなぞった結果です。

手作業で追跡したサッカーの審判の1試合の動きの軌跡

ワークレート分析については、その後のGPSの急速な普及などもあって、データの取得は比較にならないほど省力化されています。では試合分析(ゲームパフォーマンス分析)にはどんな発展があるのか?この点について、日本の企業が研究開発したテクノロジーについて取材を行いました。

スポーツ科学やそれに関する製品の開発について、欧米やオーストラリアから出てくる製品や情報が多いのは事実ですが、日本の企業にも優れた技術があり、挑戦的な開発者の方たちがいます。今回の記事には、そんな人たちを応援する気持ちも込めました。

余談になりますが、ゲームパフォーマンス分析以外に、三次元動作解析、生理学的コンディション評価、スピード&アジリティ評価、そしてワークレート分析まで手がける機会を与えてもらえたのは、日本でのスポーツ科学関係商品普及の萌芽期に立ち会えたが故の幸運だったと感謝しています。

スポーツパフォーマンスが1つの要素だけでなく、多面的な要素で成り立っているという、当たり前のことを忘れないでいられるのはそのせいかもしれません。

ぜひ多くのかたにお読みいただければ幸いです。

(橘 肇/橘図書教材)