【コラム】全力ジャンプをしてなかったから?

15年くらい前、あるセミナーでストレングス&コンディショニングコーチ(S&Cコーチ)の方がこんな話をしていたのを覚えています。

その方は当時、VリーグのバレーボールチームのS&Cコーチをなさっていたのですが、「大学を卒業してVリーグに入ってきた選手の『最大ジャンプの高さ』が学生時代よりも落ちてしまう。」というテーマのお話でした。

細部を覚えていないので誤解があったらご容赦願いたいのですが、日々の練習や試合の中で「全力でジャンプすること」という機会は意外と無いのだそうです。だから能力の高い選手は、その能力の中でやれてしまうから(意識してトレーニングメニューに入れておかないと、最高到達点まで行くようなジャンプをしなくなる)…というような見解だったと思います。だからこそ客観的な測定を入れて、全力で行うためのモチベーションにする必要がある、とこの話は続きました。

そこで、私自身のことです。

独立する時、自分の「お金になる技術」は何だろうと思ったとき、まず20年間輸入の仕事で使ってきた「英語力」だと思いました。メールは毎日、アメリカの会社との深夜1時のTV会議も週1回、マニュアルやユーザー事例の翻訳は数限りなく、セミナーの通訳も毎年やっていた訳ですから、そこそこ実戦で磨かれているものと思っていました。

履歴書(当然、職探しも考えてましたので)に載せるために受験したTOEIC、スコアがどうなっていたかというと、

▶︎ 前回(2009年)に比べ10%ダウン。

かなりショックでした。「テストはテスト対策が必要だから。」という言い訳もありはしますが、前回も別に対策はせず、素のままの点数です。前回の受験から10年間、英語を使うといっても定型のやりとりで終わっていなかったか?言い換えれば、時には「全力ジャンプ」をする努力をしていたか?と、レベルは全く違いますが、新しいスタートに際して思った訳です。いま私の履歴書に載っているTOEICのスコアが10年前のものであることは、言うまでもありません。

(ちなみに上に表示されている画像の辞書では、「パフォーマンス」と言う単語は「演技」に関するものとしか載っていません。これについては「トレーニング・ジャーナル」の連載第二回で考察しています。)

(橘図書教材/橘 肇)